キット頒布の難しさ
キット頒布の難しいところに、頒布価格の設定がある。
あくまでも趣味の範囲で頒布するのだから、儲けを出すつもりは無い。もちろん赤字になるのは論外だが、部品代と発送費用だけ賄えれば良いとも思う。実際には、部品屋への交通費、試作に要した費用、当然ながら開発に費やした工数が掛かっている。
ここで、簡単な確認をしてみる。部品代+発送費用+試作費用等で5000円のキットを50個頒布するとして、頒布価格をいくらにするかで、下表の結果となる。ここで、損益分岐と書いているのは、マイナスからプラスになる(つまりトントンになる)キット頒布数で、この数まで頒布しないと赤字になる数字である。
不良在庫による赤字以外にも、キットの致命的バグによる返金、クレームによる損害、発送事故による損害など、いろいろなリスクが考えられるため、原価よりはプラスの頒布価格にすることになる。
たとえば6000円とすると、最終的な利益は5万円となり、妥当に思える。ただし、この場合には、赤字にならないためには42セット以上の希望者が必要となる。よほど魅力的なキットならばともかく、私の経験では50セットだと全数が出るには1〜2ヶ月を要する。魅力に乏しいと、42セットに届かない可能性も高い。
かと言って、10000円に設定すると25セット出るだけで赤字脱出だが、希望者が少なくなるだろうし、全数出たときの最終利益が25万円といたずらに大きくなってしまう。そもそも、25万円もの利益を手にしたら、趣味ではなくなってしまうような気がする。(私が古風なだけかも?)
いままで2回キットを頒布したが、この頒布価格設定が一番悩んだ点である。これからキットを頒布しようとする人は、赤字にならない程度に良心的な頒布価格を心がけてもらえれば、アマチュアキット頒布の未来も明るくなるだろう。
ちなみに、たとえば商売として販売するのであれば、原価率は30%くらいに設定するようだ。この例では16000円(高い!)で、55万円の利益となる。これでも、毎月50セットを完売してやっと一人分の食い扶持である。やはりオーディオは職業にせず、趣味に留めた方が無難なようだ。
自分は商売に向かないなことがわかった気がするな
高橋@小平
2005年3月31日 木曜日 9:51
一度やるのは勉強になりますよ。
キット頒布を続けてやっておられる方には、ひたすら感服するばかりですが。
上野@神奈川
2005年3月31日 木曜日 9:51