JINZO Paintの軌跡



1. はじまり

 私は絵は描きません。絵心も無いですし。そんな私に、以前からNewton関係でソフトを協力して作ってたyamachaさんが声をかけてくれました。

「今度WindowsCEでE-55というのが発売になるんだけど、PDAお絵描きに使えそうだよ。一緒に買って、お絵描きソフトを作らない?」と。

 いろいろ調べると、Windows95/NTの開発環境+αでプログラムが作れそうなこと、結構高速そうなこと、Newtonよりも小さいこと(笑)から、買ってみることにしました。

 発売日の2日後(1998年12月19日)、yamachaさんと秋葉原を放浪すること3時間、 やっとのことでE-55を購入。思ってたよりも遅いし、手書きメモではお絵描きはほとんど無理なことが判明。ここで一発それなりなお絵描きソフトを発表すれば、一躍有名になれそうな予感が...

2. 開発環境を揃える

 E-55も入手した後は、開発環境の入手。以下のものが必要なのでした。

  • WindowsNT (エミュレーションを使用しないならばWindows95でもOK) → 4万円くらい
  • VidualC++ (Standard版はダメ。ProfessionalかEnterprize版) → 8万円くらい
  • VidualC++ Toolkit for Windows CE → 3万円くらい
これらを揃えると、全部で15万円... サンデープログラマには辛すぎ!!

 いろいろと画策(笑)した後、無事に私のパソコンにはこれらがインストールされましたとさ。懐が寂しくなっちゃいましたけど。

3. プログラミング!

 PC-8801、X68000、SunSPARC、Linux、Mac、Newtonといろいろと趣味でプログラムを組んだことはあるものの、実はそれまでMS Windowsのプログラムはやったことが無かったのです。それなのに、WindowsCEの開発環境はWindows95/NTのプログラミング経験があることが前提のようで、オンラインドキュメントも「このWindowsCEでの関数は、同じ名前のWindows95/NTの関数とこれこれが違う」としか書いてない始末。おまけに私はC++は知らなくてCしか使えないのですが、サンプルプログラムはC++のモノがほとんどみたいでお手上げ。

 でも、神様のようなホームページがありました。TascalSoftさんがサンプルプログラムとプログラムのノウハウを公開してくださっているのです。これが無かったら、私はいまだにWindowsCEでのプログラムは出来ていないかも。

 それでも詳しいことはプログラミング本を買う必要がありました。5000円くらいの本を5〜6冊買ったでしょうか。これではWindowsCEでフリーウエアが少ないのも仕方がないですね。

4. 名前

 こうして、とりあえずペンで画面をなぞると線が描けるまでのものは作れました。そのときは、OEKAKIという名前のプログラムでしたね。なにかカッコイイ名前を....といろいろ案を出しましたが、どれもイマイチ。

 ちょうどそのころ持病の腎臓結石が悪化してて、猛烈な体調不良(身体がだるく、吐き気がする)に苦しんでいたときでした。yamachaさんとPae君と3人で秋葉原のドトールで名前を考えていたとき、私が強引に「JINZO Paintにしましょう!!」と決めてしまいました。とてつもなくいいかげんでゴメンナサイ。

 その後、アイコンも作りました。ほら、腎臓にある結石がキラリ!と光っているでしょ。

5. ベータ版公開

 とりあえずお絵描きソフトに必要な機能が装備できたので公開してみたりしたのが、開発をはじめて2ヵ月後の1999年3月6日でした。結構反響があって、うれしかったですね。『窓の杜』でも紹介されたりして。

6. カットアンドペースト

 JINZO Paintの開発では、yamachaさんやPae君に、仕様面でさまざまな提案をもらっていました。ところが、カットアンドペーストの実装をめぐって主張がまっぷたつに分かれてしまう事態に。yamachaさんは他のアプリや仕様の美しさを考慮したコマンド体系に、私は一般的でなくても操作しやすいであろうコマンド体系に.... 私の主張は、結局は「現状の作り込みでとりあえず動いてるし使えるんだから」という手抜きな面もあったのですけどね。

 現在の仕様は私の意見を強引に押し通してしまっています。使いやすければよいのですが...

7. 掲示板

 知り合いのホームページに掲示板がちらほらと設置されているのを見て、JINZO Paintで描いた絵を貼れるような掲示板があったら面白いかもと思って、設置してみました。すると皆さんの力作が掲載されるは、新しい機能の提案はあるはで、当初思っていた以上に皆さんに盛り上げていただいてます。皆さんの作品を見てると、JINZO Paintを作ってよかったと幸せになれますね。

8. そして...

 JINZO Paintは、WindowsCEアプリとしてそれなりに知られるようになりました。また、お絵描きをするための必要最小限の機能は搭載していると思っています。

 でもPDAお絵描きソフトの道は険しく長いのです。まだまだ改良したいところ、皆さんに試していただきたいアイデアは尽きません。皆さんの声援のある限り、JINZO Paintは進化しつづけることでしょう。そして、いつしかPDAお絵描きアプリの金字塔に...なれるかな?