ヲサカナさんができるまで そのいち 「肉の塊?」 英智「美文さん美文さん」 美文「どーしました?英智さん」 英智「今日はちょっとばかし、君にお手伝い頂こうと思ってね」 美文「私、ザウの絵描く位しかできないですけどー」 英智「いや、そのザウ絵の特集でも組もうと思ってね」 美文「はぁ」 と、いうわけで、ちょっとばかし、ひでのし画伯君が一体どーやってあの扉絵描いてるのか、そのJINZO Paintノウハウの一切を白日の下に曝け出したいと思ったりしてます(←大袈裟)。 英智「今回はねー、ひでのし君、『ヲサカナさん』描きたいって言って聞かなくてね」 美文「そんなー、今から7月末の締切まで、イヤって程描かされるのわかってるのにー」 英智「黙っててあげて、彼まだ知らないから(ニヤリ)」 (注:この時期BABは同人誌原稿の執筆をはじめていました(泣)) と、いうわけで、今回のお題はヲサカナさんこと「プリンセス=クラウン」の人魚娘、オンディーヌちゃんなんです。 で、 美文「なんですかー? この肉の塊」 英智「うーん、こんなのがあんな絵に なるんだねー」 まず、JINZO Paint(以下JZP)の機能である4色描画のうち、ライトグレーのペンでアタリ線を描きます。私の場合、4色使えるJZPでも最終的には白黒2値の絵しか描かない訳なのですが、こーいった完成までの過程において、4色使える事ってのは、えらく便利なのですね。 ←この時点では、まったくもって「肉の塊」なんですね、ココラヘン、私の画力の無さを曝け出しててアレですね(苦笑)。このアタリ線は、実際の線を書いていくうちにいずれ消されてしまう運命なのですが、私にとっては人物像のバランスをとる上で、地味ですが重要だったりします。 ちなみに、JZPのウリの一つである「色演算(Palette Option)」ではLight Gray欄のBlackをオフにしています。つまり「ライトグレーは黒を塗りつぶさない」設定にしておきます。今後、アタリ線を訂正しながら黒の主線を描くことになるので、この設定は主線保護のため、ということで。 そして 美文「あっ、顔!」 英智「ふむ、彼はお顔から描き始めるんだね」 →ココが第一のキモです。 私の絵描きのスタンスはご存知の通り「描いてる絵にトコトン惚れ込む」な訳でして、つまるところ、完成まで何時間も顔を合わせる絵が可愛くなかったら描く気もおきないってことなんですね。 というわけで、まず顔を描きます。それも、この時点で自分が納得できるだけのお顔が描けるまで、何時間も掛けて、描きます。人形だけでなく、絵も顔が命ですから。今回は上手い具合に、30分程度で描けました。訂正も少なくて満足。 ちなみに、この顔を描くにあたっては、JZPのまたもやウリの一つ、「ルーペ」を使います。大体の線を2倍モードで描き、メインの描きを3倍モード、細かいドット修正や二重瞼のような細部を4倍モードで描くという具合に、細かく使い分けています。余程の事がなければ8倍は使いません。 ←こんなカンジで描いてると想像シテクダサイ。 よーく見ると、同じ線でも太さが違っていますよね。 そうなんです、私のこの新ザウ絵(失礼、JZP絵)の場合、線の太さの標準が2ドットなんですね。太い部分を3ドット(このごろコレは少ない)、通常部分を2ドット、細い部分を1ドットとすることで、旧ザウ(Pi6500)時代にはなかった、「ペンっつぽいタッチ」を実現している……ツモリなんですけどね。 これもE-55の240×293ドットという、解像度の高さ(といっても、今ではもっと高解像度のPDAが沢山出てますけどね)がなせる業なんでしょうか。とにもかくにも、コレでココからのン時間の間、ヲサカナさんのお顔を拝みながら「くるくるきゅー」なお絵描き時間を過ごすことになるわけです。
ヲサカナさんが できるまで ……つづく
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ヲサカナさんができるまで そのに 「主線を描くぞー」 さて、前回めでたくお顔が出来上がったヲサカナさんですが、それからどーやってヲサカナさんがそのカワイラシイ姿を見せてくれるのか、といいますと、 結論。 顔→体→付属物→髪→背景 という具合に主線を描き進めていって、あとは一気に色塗り(こっちは体→髪→背景の順で)するという順番になります。それを製作途中の絵を見ながら追っていきたいと思います。 美文「まだ肉の塊ですね」 英智「千里の道も……というヤツですね」 とりあえず、ヲサカナさんのお顔にお耳を描いてあげて、さらにお目めに瞳を入れてあげたところで、お顔周辺のアタリ線を消します。消し方は二通りありますが、今回はJZP初級な方法で、 「色演算」でWhiteのBlack欄をオフにして、白ペンでお顔周辺を塗る ことにしました。 同時にヲサカナさんのお体に、黒ペンを入れたりします。この時点ではアタリ線と大して変わらない肉の塊ぶりを存分に発揮してくれてますね(泣)。つまり私ってば、徹底的に線が定まらない人間だということがバレてしまってる訳で……。だ、か、ら、絵の上手い人は参考にするダケ無駄です、自称下手向けの描き方ですから。 んで、 英智「こうなるのだ」 美文「お手てができてますー」 →ココで今回は、お手ての掘り出しに着手しました。これって、私の絵のポリシーそのいち「顔が命」に続くポリシーそのに「手は顔ほどにモノを言う」なココロ。とはいえ今回はお手ての方もアタリ段階で結構イケてたので、実際描き上げたのは30分程度だったと思いますが…… いつもは鏡の前で自分の手とにらめっこしながら描いたりしてますね。あと、手の表情で参考にしてるのは「ヨコハマ買い出し紀行」だったりしています。 あと、このとき、体の線を一本一本掘り出していくのと同時に、まだ描いてない部分のアタリ線を加筆訂正しながら、少しずつバランスをとってたりもします。いっぺんに絵が描き上がらないひでのし流の描き方だと、パーツを重ねて行く間にすっかりバランスが崩れてしまうんですね。 それと、非常に細かいですが、口元が若干マイナーチェンジしました。こんなカンジで、特にお顔は他のパーツを描いている間でも、ちょこちょこと筆が入ったりする訳です。 それを続けてくと 美文「ここまで来ると、もう肉の塊じゃ なくなっちゃってますねー」 英智「一本一本線が確定してくると、 スピードが増すって言ってたね」 ←こんな感じになるんですね、この時点で下半身のヒレの線が確定してきます。ヲサカナさんでなくてフツーの女の子の絵になると、これが服のパーツとか小物とかだったりする、と。 この時もやっぱりお顔のマイチェンは続行中でして、この頃になると、「お目めに瞳が入ってなかった頃の方がヨカッタ」と痛切に感じた結果、黒い瞳を消して淡いメッシュに描きかえたりしています。また、そろそろカタチだけでも髪が描いてないと淋しく感じるようになってきたので、ぐしゃぐしゃとヲサカナさんのショートカットな髪を描いたりもしてます。 実は、このぐしゃぐしゃ髪のカタチが偶然にもヒットして、そのカタチを維持しつつ清書がされるコトになるのです。偶然と友達になることにも、このごろ慣れました(笑)。 あと、本日の締めに 美文「観るだけで気が遠く」 英智「既に絵描きじゃないね」 こーやって、線を掘り出して行くんです、私。 これって「描く」じゃなくて「削る」とか「掘る」とか言うのに近いですよね、絵画じゃなくて彫塑。大体の線をグリグリと描いて、両端から削る、ひたすら削る。2ドット分の滑らかな線が浮き出して来たら、少しずつ線を延ばす……、上手く削れなかったら、またドットを盛って、削る……。 ココラヘン、私の絵が絵心ナシでも描ける所以でして、根気さえあれば描けると豪語ずる真実がソコニアル…と。 ちなみに余談として、JZPにはご覧の通り、「文字入力機能」が付いてまして、それで→コノ字を入れたり、矢印部分では「直線描画機能」を使ったりしてます。コレデモカと小技が揃ってるJZPってすてきすてき……。 さて、次回が最終回、どんなオサカナさんが産まれるのでしょうか…… |
ヲサカナさんができるまで そのさん 「仕上っちゃった」 と、いうことで 美文「ちゃっちゃっと描きあげちゃいましょー」 英智「気楽に言うなや」 ←とりあえず、お体の線が確定した時点で、アタリ線を消します。 今回採用した消し方は、これも現在のPDAお絵描きツールではJZPにしか実装されていない「色変換 Color Convert」を使うやり方、 @「Color Convert」ダイアログのLight Gray欄をWhiteにチェック←薄灰色を白に変換する設定 A「Select all」で画面全体を選択して、「Copy」。この時点でクリップボードにコピーされた画像に対して色変換が実行され、薄灰色のアタリ線がすべて白に変わった絵が表示される。 Bコピーした絵をそのまま「Paste」し、これをセーブ。 このやり方だと、ズバっとアタリ線が全消しされるので、非常に爽快です。 んで 英智「ここでやっと髪の毛描く訳だね」 美文「ぼてっとしてますー」 →ごめんなさいね(怒)。 髪の毛一房一房描くのにも、大層な時間と手間が掛かってしまうのが、私の絵の泣きドコロですね、いつものことながら、髪は面倒だから描きたくなくて、ついつい後回しにしちゃうんですよね。 ちなみに大体の場合、左端の上の一房から描き始めて、左半分→前髪→右半分と描いていきます。アタマのカタチからみておかしくならないように気をつけつつ、綺麗に流れる髪を描きたいんですが……あとで見返してみると、必ずドコかバランスが狂ってたりします(泣)。 ココでも当然の如く、一本一本線を削り出して行ってますので、シャッシャッと細かい線で出来た黒髪とかは描けません(断言)。そーいう髪の毛が描きたい人は、別のトコロを当たってくださいませ(泣)。 あ、それとこの時点で、ヒレの筋とか、ウロコとかの描き込みも完了して、いよいよヲサカナさん本体の主線描画完了、というコトで。 それからそれから 英智「ひでのしザウ絵の真骨頂、 背景にはいります」 美文「今回は……手抜き?」 ゴス 美文「まっ、またグーで殴ったーっ」 ←今回の背景は月夜のティタニア湖、ということで、月と水面と対岸の木々という、シンプルなモノにしてみました。輪郭時点では楽なんですが、コレに塗りが入るとなると……結構コトなんです。 ちなみに、満月の新円はまたしてもJZPの小技機能、「Line」の「Circle」を使っています。JZPのライン機能は直線、円、塗りつぶし円、矩形、塗りつぶし矩形と5種類あり、しかも、E-55等のアクションボタンがある機種については、アクションボタンを押しながらラインを引くと、直線は垂直(or水平)線を、円は真円を、矩形は正方形を、楽々描けるというスグレモノ。Piザウ時代泣きながら描いた円が今やこんなに楽に描けるとは…… あと、↑この絵のように、背景の円と前景の人物をかぶせる時には、 @色演算で薄灰色の黒塗りつぶしをオフにしてから、薄灰色で円を描画 A同じく色演算で黒の白塗りつぶしをオフにしてから、黒で円の薄灰色を塗りつぶすと… 白(透明)部分は黒が描かれないで、薄灰色の円の1ドット線だけ黒くなって行くわけです。 で、顔に掛かってる方の薄灰色の線の方は、アタリ線消しと同様に消せばいい、と。 美文「とうとう色塗りがっ!」 英智「ちなみにコレは上野→桜木町の 京浜東北線の中で描きあげました」 色塗りです。とりあえずこの時点ではヲサカナさんの塗りが完了したトコロですね。 今回、ヲサカナさんの色、影はすべてメッシュで描かせて頂きました。JZPには、メッシュパターンとして、12.5、25、37.5、50、62.5、75、87.5%の、7つを実装していまして、グラデーションを描くにあたっては申し分ないパレットだったりします。このメッシュが当然薄灰色、濃灰色にもソレゾレ使えますので、4色使いの人だったら、根気さえあればそれこそCG並の塗りが可能な訳です。 このヲサカナさんでは、体の影は12.5%、ヒレの根本と髪は12.5〜50%のグラデ、ヒレは12.5%、ウロコはグラデするスペースがないので50%、といったトコロです。ちなみにひでのし流グラデの作り方は。 @粗いメッシュで描く A周辺、端を残して1ランク濃いメッシュで描く の繰り返しですが、このときのポイントは、「塗る」でなくて「叩く」こと。つまりグラデの色塗り時は点描の要領で描く訳です。これも根気がいるんですけどね。 あと、これも小技ですが、月明かりの当たってる方、左側の髪の毛の線を1ドット線にして、できるだけ淡くしたりしてます。気付きました? でー、ついにっ 美文「完成ですー」 英智「今回はコレで5〜7時間位?」 ヲサカナさんの透き通るような肌と儚げな表情を浮び上がらせる為に、思い切って背景をベタで固めてみました。心持ち引き締まったカンジがしないでもない、かと。 今回の背景も小技満載でして、まずベタの夜空とヲサカナさんの境目の白抜き。これはルーペの8倍モード(この倍率だとまずドットを外さない)で1ドット空けの縁取りをして、塗りつぶしてます。次に月の影は12.5%グラデ、対岸の木々は12.5〜75%グラデ、湖面に映った月影の照り返しは白ヌキをアクションボタン押し直線ラインで描いています。 そして最後に、「ひでのし印」の押印。これはます印の押された別の絵をOpenして、印の部分をコピー、そして今のヲサカナさんの絵を再びOpenすると、開いた絵とコピーした部分が両方有効になってますので、絵の中の貼りたい位置に動かして、Paste。印の周りを1ドット残しで塗りつぶして…… 美文「ザウのごじゅうよん、『月の石がみている夢』、完成ですーっ」
「ヲサカナさんが できるまで」おしまい。
Presented by Datte, Sukinandamon/hidenoshi
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