6SN7プッシュプルアンプその2

はじめに

以前球形スピーカーを作るために木工工具(バンドソールーター)を揃えてしまったので、アンプの外装を木工で作ってみました。

回路は、6SN7プッシュプルアンプのリニューアルとしてみました。

ねらい

真空管アンプのシャーシについて以前から思っていたことですが、アンプの上に何も置けず、スペースファクタが悪すぎです。 発熱の大きい真空管ならば仕方が無いのかもしれませんが、発熱の小さいアンプにすればアンプの天板を大きくできて、上にCDくらいは置けるようになって便利ではないでしょうか。 というわけで、アンプのシャーシと同じ大きさの天板を取り付けることにします。

また、DAC 3号機のボリュームで音量調整するためアンプには音量調整のボリュームは付けていませんが、今回は一般的なアンプにしたくてボリュームを搭載することにしました。

回路

以前作った6SN7プッシュプルアンプは入り口のオートトランスで位相反転をしているため、この前段にボリューム抵抗を配置するとオートトランスをドライブしきれるか不安です。 そこで苦肉の策で、ボリューム抵抗の後に12AU7を配置し、カソホロ出力で強力にオートトランスを振ることにします。

B電圧は230Vとし、各段に同じものを供給します。

初段は12ATUはカソホロで、3mAと少し多めに電流を流します。 位相反転用のオートトランスとはコンデンサでDCカットして接続します。 オートトランスとパラレルに10kオームの抵抗を接続しました。 また、電圧増幅段は12AT7です。

電力増幅段の6SN7は、プレート電流10.9mAのA級プッシュプル動作をさせます。 カソードはGNDに直結 (正確には電流測定用に1Ω抵抗)して、グリッドを-6Vで引っ張っています。

12VのACアダプタで、ヒーターを点灯します。 また、6SN7のグリッドバイアスにも使用します。

使用部品

入力トランスは、シオヤ無線で扱っている10kΩ=10kΩの小型トランスの2次側だけを使用。

出力トランスは東栄変成器の小型プッシュプル用出力トランスOPT-5P。

電源トランスは、SINKO B6Z22WCDを、110V=200Vのタップで使用。

ACアダプタは、秋月電子通商12V 700mA品。

実装

木材はマカバで、もくもくで節があるためワケアリ品で格安だった25mm厚の材を10mmに挽いてもらって、40cm×25cm×10mmを2枚で1260円と安価に入手したものです。 1mm厚のアルミ版と組み合わせて、仕上げは荏油としました。 電源スイッチとボリュームノブの印はチーク材です。

今回はなるべく小さく薄く作りたかったので、1.5mm厚のベースに部品を並べています。 そのため電線が増えてしまい実装が大変でしたので、プリント基板等で実装することも考慮した方が良かったかもしれません。

おわりに

入力段にカソホロを配置したためか、非常に細かい音が出るようになりました。 今まで作ってきたアンプと音が違うので、もしかしたらどこか変な動作をしているのかもしれません。 とりあえず気に入っていて、常用しています。 この回路でもっと出力の大きなものを作ってみようと思っています。


2010/1/30 上野