数年前から、「痛車(いたしゃ)」というアニメやゲームの女の子の絵を自動車に貼り付けたものが、一部で流行っています。 また、最近は自動車だけではなく、自転車やギターにも同様の行為が広がっているようです。
人前でこういう「痛い」ものを披露する勇気には感心しますが、いくらそのキャラが好きとは言え、良くやるなぁと生暖かい目で見ていました。
ところが、ついにオーディオ機器にまで、その波が押し寄せてきました。 下の2枚のアンプの写真は、私も所属している手作りアンプの会の会員が作成したものです。
これらは真空管アンプのシャーシに絵を貼り付けています。 これはこれで、そのキャラへの愛が感じられて微笑ましいですが、個人的に納得できないことがありました。
絵を貼り付けただけで「痛い」と言えるのか?
キャラとオーディオ機器が融合していないではないか!
自作オーディオマニアならば、音に関係した部分で「痛さ」を表現しなければならないのではないか?
こんなのは甘すぎる!
そこで、部屋にそういったものを飾る趣味は無いのですが、オーディオ機器の「痛さ」を追求して、痛オーディオ機器を作ることにしました。
キャラとオーディオ機器の融合を果たすべく、オーディオの心臓部とも言える音を発する部分、つまりスピーカーの振動板にキャラを配置します。 こうすることで、好きなキャラが発した音を聴けるというわけです。
ここ数年いろいろ作ってきた平面スピーカーならば、絵を貼るのも難しくなさそうです。 というわけで、さっくりと作ってみました。
キャラは、エリリンでもヨッキュンでも何でも良かったのですが(歳がバレる)、今風のものということでけいおん!に、そして当然ムギをフィーチャーしてみました。 とは言え私は絵心が無いので、ネットで拾った絵を前面に、OP曲の限定版に付いてたキャラごとの絵を側面に、トレードマーク?の楽器の絵を上面に配置しました。
絵は、インクジェットプリンタ(Canon MP600)でA4のプリンタ用紙に印刷しました。 前面の絵はJPG絵をそのまま印刷したものですが、側面の絵はCDのジャケット絵をMP600のスキャナで読み取り、そのままMP600の4色インクジェットで印刷しています。 あまり品質には期待していなかったのですが、結構満足な印字品質になりました。 両面テープをエンクロージャー全体に貼り、その上にプリンタ用紙を貼り付けています。
エンクロージャーの寸法は、正面のバッフルがA4サイズ、側面の絵は正方形なので縦横ともA4縦サイズです。 振動板の寸法は、直径150mmとしました。 エンクロージャーは9mm厚のMDFで、前面バッフルは9mmのMDFにネジ穴隠しのため2.5mm厚のMDFを貼り付けています。
スピーカー内部はボッフル構造としましたが、ネジを見せたくなかったので、後ろからボッフルユニットを差し込む構造にしました。
振動板は30mm厚の発泡スチロールを切り出したものです。 ボイスコイルは0.16mm径のUEW線をクラフト紙(封筒を切り出したもの)に1mm幅×4層で巻き、高周波ワニスで固めています。 ダンパは手芸用の糸を使用しました。 エッジは100円ショップの洗車用水拭き布です。
いやぁ、ひどい音です。 なぜこんなにひどいかはよく分かりませんが、おそらくプリンタ用紙を両面テープで貼り付けたので振動板が重くなりすぎたのが原因だと思います。
エージングすれば音質が少しはマシになるかと思い、しばらく部屋で使ってみましたが、見た目が痛すぎて常用に耐えられませんでした(笑)。 とりあえず手作りアンプの会の会員には披露したので、役目は果たせました。 今後は押し入れの肥やしになるだけです...
2009/9/23