お世話になっている某氏より、バーブラウン製IC PGA2310UAを数個譲っていただいたので、ボリュームBOXを製作しました。
PGA2310は、ステレオ・オーディオ・ボリューム・コントロール ICで、マイコン制御により256段階のボリューム制御が可能です。 また、アナログボリュームなので、音質の劣化が小さいとのことです。
PGA2310は、マイコン制御が必須となります。このマイコンに要求される機能としては、PGA2310向けの数本の信号の制御と、外部の可変抵抗からボリューム値を読み取るA/Dポートが1ポートとなります。今回は、ワンパターンですが、ATMEL ATtiny26Lを使用します。秋月電子で280円と安価です。
PGA2310のボリューム値指定は0〜255の256段階で、0.5dB刻みで-96db〜31.5dbまで指定できます (実際には0を指定するとミュート動作となります)。また、ATtiny26LのA/Dポートは0〜255の256段階のアナログ値を読み取れるので、内部に対応表を用意して、可変抵抗から読み取った値に任意の変換を施してPGA2310に渡すことにします。今回はこの対応表を2種類用意して、ジャンパスイッチで切り替えられるようにしました。それぞれ-80dB〜+5dBと-60dB〜+25dBにリニアに変化させるため、Bカーブの可変抵抗と組み合わせて使用します。
また、PGA2310は、デジタル部で+5V、アナログ部で±15Vと3種類の電源が必要ですので、それぞれトランスと三端子レギュレータで作って供給します。
PGA2310を搭載した基板です。
電源ON/OFF時のポップノイズ対策で、PGA2310のMUTE端子にリセットIC PST-600Dを接続してみましたが、効果がなかったので搭載しなくても良いです。 下の画像の基板では、搭載していません。
デジタルとアナログでGNDを分離してみましたが、効果があったかどうかは不明です。
今回製作した基板は、DIP品のPGA2310PA用ですが、手持ちがSOP品のPGA2310UAなので、変換基板を作成しました。 ちょっと強引な作りですが、なんとか動いているようです。
デジタル用の+5Vと、アナログ用の±15Vを生成します。 それぞれ、外部に100V=9V (0.2A)、100V=15V2回路 (0.1A)の東栄トランス製のトランスを接続して使用しています。
600dpiでプリントすれば、原寸となります。
プログラムソースと書き込みデータです。 AVRマイコン ATtiny26L用です。 コンパイルにはAVR studio 4.09を使用しました。
また、某氏よりUSB=RS-232C変換モジュールも譲っていただいたので、Yoshi.さんの AVRライタに、TEMPLEさんのAVR910互換ファームウェアを焼いたAT90S2313を搭載して、ライタソフトはAVR studioからAVR progを起動して使用しています。これのおかげで、ノートPC (VAIO U101)のUSBポートから書き込めるようになって、かなり便利になりました。
ケースに入れて、ボリュームBOXとして使用しています。 また、セレクタもあると便利なので付けています。
なお、この箱に入れている基板は、試作段階のもので、PGA2310UAを直に基板に搭載しています。
さすがに、劣化のない音です。 ソースの音がほぼそのまま出てきます。 以前は真空管のカソホロ単段バッファアンプを使用していて満足していましたが、その音が曇っていることがよく分かりました。 もうそれに戻れそうにありません。
ただし、電源OFF時のポップノイズが強烈です。 リレー等で対処できますが、音質劣化が気になるのと、めんどくさいのでそのままにしています。 通常使用では、このボリュームBOXは通電させっぱなしなので...
PGA2310は安価なICとは言えませんが、なかなか高性能なことを実感しました。 ただし、マイコン制御が必要なため、アマチュアには敷居が高いことも事実です。 でも今後はこのようなマイコン制御を前提としたICが増えていくでしょうから、マイコンの使い方を勉強しておくのも無駄ではないでしょう。 やってみれば結構簡単ですしね。