EAGLEを使ってみよう(その1)、(その2)までで、プリント基板を自分でエッチングすることは出来るようになりました。 ただし、両面基板を作ったり、表面実装部品を使用したり、大量に基板を製造したりする場合には、プリント基板業者に発注することになります。 また、自分でエッチングする場合にも、スルーホール部品用の穴を空けるのはかなり面倒ですので、業者に頼んだ方が楽かもしれません。 そこで、プリント基板業者と発注方法について紹介します。
とりあえず、私が知っている、お勧めできる業者の一覧です。
会社名 | 国 | 納入形式 | 特徴 | 支払い方法 | 実績 |
---|---|---|---|---|---|
OLIMEX | ブルガリア | EAGLEのセーブデータ、ガーバーファイル | 1枚でも安価 | クレジットカード番号をFAX | 有 |
PCBCART | 中国 | ガーバーファイル | 10枚以上作るなら激安 オンライン見積もり可能 | PayPal払い | 有 |
P板.com | 日本 | ガーバーファイル | アマチュア向け国内業者では有名 オンライン見積もり可能 | 銀行振込 | |
プリント基板ドットコム | 日本 | ガーバーファイル | P板.comより安いかも オンライン見積もり可能 | 銀行振込 | 有 |
EAGLEを使うのならば、OLIMEXがお勧めです。 EAGLEのセーブデータをメール添付で送付するだけで、面倒なガーバーデータを作成する必要がありません。 以下は、ガーバデータの作成に自信がある場合の選択肢です。
海外業者でも良いのならば、OLIMEXかPCBCARTがお勧めです。 2〜3枚しか作らないならばOLIMEX、それ以上作るならばPCBCARTが妥当でしょう。
OLIMEXの場合、160mm×100mmの基板サイズ (フリーウエア版のEAGLEは100mm×80mmまで作成できるので、2枚分となります)で、送料込みで約6,000円と安価です。 ただし、支払いはクレジット番号を東欧のブルガリアへFAXするため、安全面で不安が残ります。 まぁ、私を含めて、インターネットで検索するとアマチュアでの実績が結構あるため、心配は不要かもしれません。
10枚以上作成するならば、PCBCARTが激安です。 支払いもPayPalなので安心です。
国内業者が良いならば、P板.comがアマチュアでの実績が多いようです。 私は利用したことはありませんが、サービスも良いようです。
国内で安価なのは、プリント基板ドットコムでしょうか。 ただし、P板.comにせずこちらを選ぶメリットはあまり無いかもしれません。
例として、100mm×80mmの両面基板(シルク片面)を発注したときの費用を比較してみます。
業者 | 1枚 | 2枚 | 10枚 | 50枚 |
---|---|---|---|---|
OLIMEX | 5,800円 | 5,800円 | 23,000円 | 110,000円 |
PCBCART | 8,800円 | 9,600円 | 11,700円 | 19,000円 |
P板.com | 24,570円 | 24,760円 | 29,400円 | 70,000円 |
プリント基板ドットコム | 17,980円 | 18,130円 | 21,880円 | 51,880円 |
製造日数は特急コース等であれば1週間以下で作ってもらえますが、費用も高くなります。 上記価格は最も安くなる日数としていますが、それでも1ヶ月程度で到着します。
価格は2007年4月1日に調べたもので、1ドル=約120円での換算です。
OLIMEXへの発注については、以下のサイトを参照してください。
OLIMEXは、160mm×100mmに収まる大きさであれば、複数のデータを一括で作ってもらえます。 例えば、基板A (100mm×80mm)、基板B (80mm×50mm)、基板C (80mm×50mm)のセーブデータを送付すると、それぞれ1枚ずつの3毎セットで約6000円となります。 もちろん、100mm×80mmのデータのみの場合は、約6000円でその基板を2枚となります。 (実際には、切断の際の切りしろが必要なので、1mm程度小さめに作る必要があります)
なお、OLIMEXに限ったことではありませんが、業者ごとに製造のルール (ドリル径の種類、基板サイズ、線幅、線の間隔など)があり、違反すると追加料金を取られたり、場合によっては不良品となってしまうことがあります。 その業者の説明を熟読して、慎重に設計することが必要です。
普通のプリント基板業者は、ガーバーデータでの受付となります。 ガーバーデータはプリント基板の設計データで、複数のテキストデータからなるものです。
EAGLEでのガーバーデータの作成は、P板.comのガーバーデータ出力方法「EAGLE」に詳しく書かれています。
作成したガーバーデータを確認するには、viewmateやGC-Prevueなどを使用すると良いでしょう。
実際には、ガーバーデータを確実に確認するのは難しく、発注では非常に不安になるものです。 プリント基板業者への発注が初めてなのであれば、OLIMEXにすることを強くお薦めします。
EAGLEを使用した設計からプリント基板を業者に発注するまでを、簡単に説明しました。 ただし、実際の作業では、ここで説明しきれない疑問が多くあると思います。 また、知っていると便利なこともたくさん有ります。
このテキストは、すべてを網羅することを目指したものではありません。