EAGLEを使ってみよう (その1)

EAGLEとは

独CADSOFT社が開発・販売しているプリント基板用CADソフトです。 フリーウエア版もあり、アマチュア工作ならばとりあえず十分な機能があります。

EAGLEを使用することで、回路図からパターン図(基板配線図)を作成して、自分でプリント基板ををエッチングするための版や、基板業者にプリント基板を発注するためのデータ(ガーバデータ)を出力できます。 オーディオ工作で役に立つことも多いでしょう。

ただし、若干クセのあるソフトですし、CADに詳しくない方も多いでしょうから、最初のとっかかりとして説明してみます。

EAGLEを紹介したホームページ

EAGLEについては、既に立派な紹介のホームページを作成されている方がいますので、参考にしてみてください。

EAGLEによるプリントパターン自動作成
…かなり詳しく紹介されています。ここをみればすべてが分かるでしょう。
プリント基板CAD EAGLE入門
…一通りの説明が図を交えてされています。ここも参考になります

また、プリント基板CAD EAGLE活用入門という書籍も出版されています。

フリーウエア版の制約

フリーウエア版には、以下の制約があります。

  1. 基板サイズが100mm×80mmまで … アマチュアならば問題にならないでしょう。
  2. 回路図が1枚まで … 少し厳しいですが、工夫次第で何とかなります。
  3. プリント基板の総数は2層まで … アマチュアならば十分です。

上記の制約が厳しい場合は、ライセンスを購入することで緩和できます。私は5万円ちょっとのライセンスを購入して、回路図は99枚まで、基板サイズは100mm×160mmで4層までとしています。

ソフトウエアのインストール

CADSOFT社のホームページの左の欄の、downloadのリンクの先に、インストール用のファイルがあります。Windowsユーザーの場合は、Windows用の英語版ファイルをダウンロードします。exeとzipがありますが、exeの方で大丈夫です。

最新版は、2007年3月4日時点ではversion 4.16r2となっています。

ダウンロードした eagle-win-eng-4.16r2.exe を実行すると、インストールされます。特にインストールで注意することはありません。インストールが完了したら、実行してみましょう。ライセンスについて尋ねられますので、フリーウエアとしての実行を選択します。 すると、コントロールパネル画面が表示されます。今後は、この画面を中心に作業を進めることになります。

ところで、このまま使用してもいいのですが、今後作成するデータが C:\Program Files\EAGLE-4.16r2 の下に作成されてしまいますので、別のフォルダに置きたい場合は、メニューのOptions → Directories で、projectsを別の場所に変更しておきましょう。 私は、Dドライブのaudio\eagleというフォルダの下に置くようにしていますので、下図の設定をしています。なお、先にそのフォルダを作成しておく必要があります。(この例ではd:\audio\eagleを作成しておく)

サンプル〜3端子レギュレータ基板の作成

サンプルとして、3端子レギュレータ基板を作成してみます。

CAD入力する回路図

上図のピンク色の部分をプリント基板にします。ここで注意するべき点は、各部品に名前が付けていることです (ダイオードはD1、コンデンサはC1、LM7805はIC1など)。コンデンサはCではじまらなければならないといった決まりは特にないですが、すべての部品に名前を付けることになります。

EAGLEでのプロジェクト作成

EAGLEでは、各基板ごとにプロジェクトという作業単位を作成することになります。今回は sample というプロジェクト名とします。

メニューで、File → New → Project とすると、画面左下のツリーのProjectsの下に、New_Project_1が作成されますので、名前をsampleに変更します。

次に、回路図ファイルを作成します。メニューで、File → New → Schematic で回路図画面を開き、その回路図画面の File → Save as... で、ファイル名を指定してセーブします。この例では、sample.schというファイル名にします。

ここまでの作業で、この基板用のプロジェクト、回路図が作成されました。画面左下のツリーのProjectの + をクリックするとツリーの内部が表示されますので、下図の構成となっているか確認してみてください。

使用するパーツの選択

では、ダイオードを回路図に置いてみます。コントロールパネル画面の左下のツリーのLibraries横の+をクリックすると、最初から用意されているライブラリが表示されます。ライブラリとは、ダイオードや抵抗などの品種単位、または部品メーカー単位に部品をまとめたものです。ダイオードは diode.lbr に格納されていますので、diode.lbrの横の + をクリックしてライブラリの中を開きます。

ダイオードは最初からたくさんの種類が登録されていますので、その中で今回使用するものを選定します。たとえば、上から2番目の 1N4004をクリックすると、下の画面となります。

右側の図のうち、左の赤茶色の図は回路図で表示される回路記号、右側の緑色の丸と灰色の絵は実際の基板での銅箔パターン(緑)とシルク印刷(灰色)となります。また、grid 10.16mm は、緑の2個の丸 (つまりダイオードの足の間隔)が10.16mm (基板穴で4ピッチ)の意味です。

回路図入力

では、回路図を入力していきましょう。回路図エディタの左側に並んでいるアイコンのうち、Addをクリックすると、回路図に部品を置くことができます。 連続してクリックすると、連続してその部品を置くことができます。今回は4個使用しますので、4個置いておきます。

さらに、コンデンサ、LM7805、端子(外部との接続口)を配置します。

部品ライブラリライブラリ部品名
電解コンデンサrclCPL-EU → CPL-EUE2.5-5
コンデンサrclC-EU → C-EU050-024X044
LM7805v-reg78XXS
端子wirepad2,15/1,0
GNDsupply1GND

PAD3とPAD4の端子(2,15/1,0)は、Rotateボタンで180度回転させています。

配線

Netボタンを押して、配線します。必要に応じて、Moveボタンで部品や配線を移動したり、Deleteボタンで消去します。

名前の付与

Nameボタンで、部品の通し番号を付けていきます。

また、Valueボタンで、部品の値や名称を入力します。

これで、回路図の入力が完了しました。

パターン図の作成

Boardボタンを押して、パターン図エディタを起動します。

左側に、回路図で入力した部品が並んでいます。 部品が黄色い線で結ばれているのは、回路図で配線した接続を意味しています。 また、右側の白い大きな四角は、デフォルトで設定されているプリント基板の外形寸法です。

グリッドの表示

まず、グリッドを表示します。メニューの View → Grid でグリッド設定ウィンドウを開いて、DisplayをOnに、StyleをDotsにします。また、Sizeを50、単位をmilに、Multipleを2にします。Multipleは、ドットを何個おきに表示するかを設定します。この場合、50milの2個おきですから、100milのグリッド表示となります。

単位のmilは1/1000インチです。ユニバーサル基板のスルーホール穴の間隔が0.1インチ (2.54mm)=100milです。

配置

Moveボタンで配置していきます。 移動させるときに右クリックをすると90度回転させることができます。

配線

Routeボタンを押して、配線します。 パターンはエッチングする場合には基板の裏側(ハンダ面)ですので、16 Bottom 層で青色の線となります。 太さを50mil、角度を45度と90度にします。

黄色の線が回路図で指示した接続ですので、そのように配線していきます。配線が完了すると黄色の線は消えますので、黄色の線がゼロになるまで配線をします。

ネジ穴の配置

まず、グリッドをSize 1mm、multiple 5 に設定します。 そして、Holeボタンを押して、穴の大きさを3.2mm (3mmネジ用の穴)とします。 4隅にネジ穴をあけるので、その場所で左クリックしてネジ穴を配置します。

また、外形を設定します。 最初からあった四角の4本の線を、Deleteボタンで消去します。 そして、Wireボタンを押し、層を 20 Dimensionの外形レイヤー、太さを一番細いものにします。 そして、外形の四角を配置します。 この例では、8cm×3.5cmのプリント基板となりました。

これで、パターンデータの作成は完了です。

エッチング用データ印刷

プリント基板をエッチングするための版を印刷してみましょう。

まず、印刷するレイヤーを指定します。Displayボタンを押して、以下の層だけをONにします。

16 Bottom
17 Pads
18 Vias
20 Dimemsion
45 Holes

また、グリッドを非表示にします。

メニューの File → Printで、Blackをチェックして、OKボタンで印刷します。

おわりに

これで、EAGLEでの作業は一通り完了です。実際には、自分で部品ライブラリを作成できるとさらに自由度が広がりますので、いろいろとチャレンジしてみてください。


2007.3.6 上野