DAC一体型アンプ

アナログ部の音質劣化を最小限に押さえることを目的とした、DAC一体型の小型アンプを作成しました。

構成

外観

12AU7プッシュプルアンプです。出力は、3Wくらいでしょうか...
前面右がアッテネータ、前面左が入力セレクタです。

横面

中段右はTC9245のDAIFです。

下段は1チップの8bitマイコンを使用したデジタルアッテネータ付きR=2R型ディスクリートDACです。

中段左はイチカワTK-PWB510PPです。B電源用の250V 80mA、ヒーター用の12V 0.8A、オペアンプで構成されたプッシュプル用の位相反転回路まで内蔵された、優れものの基板です。本来は12BH7用とのことですが、ヒーター用の12VでDAIFとDACの電源も供給したので、12V 0.3Aの12AU7 (5814) を2本使用しました。手作りアンプの会のイベントで、格安で譲っていただきました。

出力トランスは、同じくイチカワITPP-3Wです。

背面

背面には、TOSリンクの入力が4系統あります。

ねらい

従来の構成

従来の構成では、CDプレーヤー内蔵のDACからアナログ出力された信号をセレクタで選択し、アッテネータで音量調節をします。この際、セレクタとアッテネータでアナログ音声信号が接点を通過するため、音質が劣化してしまうのです。

今回の方式

CDプレーヤーからのデジタル出力信号(S/PDIF)を、DAIFチップ内蔵のデジタルセレクタで選択します。そして、DACに組み込んだデジタルアッテネータで音量調節し、パワーアンプ部に直接入力します。これにより、セレクタやアッテネータの接点は音声信号を扱わず、デジタル回路への選択信号のみを扱うため、接点による音質劣化が有りません。また、セレクタやアッテネータに安価な汎用品が使用できます。

製作

電源基板(TK-PWB510PP)の初段部のゲインが結構高いため、常用しているスピーカーではアッテネータをかなり絞った状態で聴くことになり、DAC部のデジタルノイズがかなり目立ってしまいます。そこで、DACと電源基板(TK-PWB510PP)の初段部の間を抵抗2個で分圧して接続しています。現在は20kΩと1kΩで分圧しています。手作りアンプの会の試聴会など大きな部屋では、分圧せず直結で使用するとちょうどいい音量が得られます。

音質

良くも悪くも、電源基板(TK-PWB510PP)の音が支配的です。初段もこの基板に搭載されているからでしょう。まぁ、セレクタとアッテネータをデジタル部で行うという狙いは、クリアな音質が得られているので成功かもしれません。

今回の製作は、これを確認するためのプロトタイプ的な位置づけなので、パワーアンプ部での音質はメインではありません。見た目が面白く作れたので満足しています。