74AC574 4パラDAC

はじめに

以前、74HC574を使用するR=2Rラダー型ディスクリートDAC基板を作成して手作りアンプの会のメンバーに使用してもらったところ、74HC574の出力インピーダンスが高いためにR=2Rのバランスが崩れる問題が指摘されました。 DAC分科会の掲示板では、74HC574は約25Ωのところが、74AC574では約10Ωと小さいとの実測データの報告があり、74AC574のパラレルの作例もあることから、74AC574を4パラにしたDACを作成することにしました。 H側とL側での出力インピーダンスの差も指摘されていますが、4パラならば無視できると思うことにします。

外観

回路

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74AC574は、秋葉原でDIP品を購入すると1個200円と高価ですが、Digi-Keyで1000個一括で購入すると1個25円と激安です。 基板の大きさとの兼ね合いで、1bitあたり4パラとします。 ただし、表面実装品となりますが、0.8mmピッチですのでハンダ付けは大して難しくありません。

4パラの接続は、74AC574内部の8素子のうち4素子をまとめて1ビットに割り付けます。 4個の74AC574から1素子ずつパラレルにするよりも、ばらつきの低減が狙えます。 配線も楽になりますし。

シリアル=パラレル部変換は、74HC574 DACと同様です。16bitから24bitに拡張するため、74HC164を2個から3個に増やしています。

電源は+5Vで、デジタル=アナログ分離を意識して、シリアル=パラレル変換部の74HC14、74HC164と、74AC574とで別供給できるようにしました。 ただし、74HC164と74AC574の間の信号でデジタル側のノイズが回り込むでしょうから、あまり効果はないと思います。

また、74AC574はかなり電流が流れると思われるので、2個の74AC574 対して少容量コンデンサと電解コンデンサを1個ずつパスコン用に搭載できるようにしました。

R=2Rのゼロクロス歪み対策のMSB調整として、半固定抵抗を搭載しています。 また、R=2Rの抵抗は、今回は7.5kΩ=15kΩを使用しました。 一応、4桁のデジタルテスターで選別しています。

出力は、DCカットのカップリングコンデンサしか搭載していません。 個人的にはローパスフィルタは不要と感じていますが、必要な場合は本基板の後段に接続可能です。

本基板はモノラルで、フレームシンク(LRCK)の立ち上がり/立ち下がりでラッチすることでLchとRchを選択できます。 選択は、ショートジャンパで設定します。

基板

両面基板で、サイズは120mm×50mmです。 PCBCARTに製造してもらいました。 また、CADはEAGLEを使用しました。

おわりに

74AC574を一括購入することで、かなり安価に作成できました。 また、細かい音が出るようで、とりあえず狙いは成功のようです。 まぁ、抵抗の選別が必須だったりで、一般的なDACとは言えませんが...


2007/3/29 上野